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カジノサイト 【連載:第2弾】「異種格闘技戦'25」結局は自分との戦い?「利他」の精神から学ぶ成長のヒント

多様な知識や技術を駆使し、自らの生き様を貫き続ける専門家たちが「人はなぜ戦うのか?その先にあるものは……?」をテーマに舌戦を繰り広げるイベント「異種格闘技戦'25」。スタート直後から「いまの若者は戦う必要がない」という、テーマの根幹を揺るがすような議題で盛り上がる事態が起きました。

第2弾では「自分との戦い」を主題にした議論の様子をウォッチしていきます。自らと向き合うことは、人生の豊かさへ直結するのか。そして他人の存在がキーとなる「利他」の精神とは……?

パネラー:

・原田曜平 マーケティングアナリスト

・田中雅美 水泳元日本代表 スポーツコメンテーター

・志津雅啓 トランス・パシフィック・グループ 代表取締役社長 元1等空佐

・高平尚伸 北里大学大学院医療系研究科医学専攻 主任教授

・ダニエル・ヘラー 横浜国立大学総合学術高等研究院 特任教授


レフェリー:

・丸岡いずみ フリーキャスター



目次

    負けを知らない人生は、やばい?

    「自分との戦い」へと議論が展開したきっかけは、田中雅美氏による「私が戦いを必要と思っているのは『負けを知れる』からです。」という一言でした。

    田中氏「敗北を知った際に得られたものこそ、人生にプラスの影響を及ぼすと感じています。『挫折や悔しさを知ったうえで、それでも立ち上がる力』が身に付くのではないでしょうか。」

    ここが文字です(左)
    丸岡いずみ氏

    この言葉に共感したのは、田中氏と同じく母親の立場であるレフェリーの丸岡いずみ氏です。

    丸岡氏「学校で行ういまの運動会は、個人競技やリレーがまったくなく、団体戦ばかり。その様子を見ていると、勝ち負けを知らないまま育つ子どもの将来に、不安をもってしまうのが正直なところです。」
    続けて丸岡氏は「でもみなさんはもしかすると、負けを知らない人生を歩んできたかもしれません。」と、数ある功績を残してきた先駆者へのリスペクトを表現。

    そのうえで「高平先生……負けを知ってますか?」と右ストレートのような直球質問を投げかけます。異種格闘技戦では、レフェリーも立派な登壇者であることを忘れてはなりません。

    突如飛んできたパンチに対し、高平尚伸氏は「負けを知ってます。」と即座にカウンター。冷静かつ、穏やかな面持ちで話を続けました。

    高平氏「中国で伝えられる『孫子の兵法』は、戦わずして勝つ方法を記した戦略書です。あくまでも勝つことを目的とした本書は、負けた経験をもとにして執筆されています。私は中学時代テニスをやっていて全国大会にも行きましたが、全国大会に行くまでにもたくさん負けを経験しました。医学部に合格できたのも、高校の先生に『絶対に受からない』と言われたからだと思います。負けて悔しい気持ちが大事で、それを原動力にしたからにほかなりません。」

    その後も「自分との戦い」というワードを軸に、登壇者たちが意見を活発に交わしていきます。なかでも独特な意見で会場の関心を集めたのは、ダニエル・ヘラー氏のとある主張でした。

    ダニエル・ヘラー氏
    ダニエル・ヘラー氏

    ヘラー氏「“たたかう”という言葉を辞書で調べると、戦争の『戦』と格闘技の『闘』の二つが出てきます。私は、自分と“たたかう”意味で使われるのが『闘』だと思っていて。自分との闘いという意味にするだけで、目に見えない自分の心と闘っている解釈が可能です。『戦』の場合、相手がいることで犠牲者が出てしまう点に受け入れ難さを感じます。」

    マインド面に近いものの、どこか共感の気持ちも芽生えるヘラー氏の言葉。フリースタイルで展開する異種格闘技戦らしい議題に対し、志津雅啓氏が果敢に挑みます。

    志津氏「“たたかう”を有形無形で考えるのは、なかなか難しい視点ではないかと思っています。例えば戦争については、有形から始まるケースもあり得るし、国同士による『エゴのぶつかりあい=無形』とも捉えられますよね。
    さらに『戦』は、戦略の『戦』という側面もあると思います。目標を達成するための戦略を練る意味でいえば、犠牲の出ない自分の心と向き合うことと同意ではないでしょうか。」

    「人はなぜ戦うのか?」のテーマから、そもそも“戦う”の語源にまで話題が発展する壮大な展開。志津氏が続けて「メジャーリーガーである大谷翔平選手の『マンダラチャート(目標達成シート)』は、まさに自分の心と向き合うための戦略」だと語ります。


    ここが文字です(左)
    田中雅美氏

    ここで頼りになるのが、プロスポーツの最高峰を経験した田中氏でしょう。しかし彼女は、どこか悲しげな表情を浮かべながら意見を述べ出しました。

    田中氏「大谷選手のすごいところは、掲げた目標をすべて達成している点です。つまり、自分に勝ち続けた結果がいまにつながっているといえます。私は現役時代、そのレベルに達してなかったんです。」

    そう話す田中氏に被せるように、会場まるごと「いやいやいやいや」の言葉であふれ出します。三度も日本代表を経験した人間が繰り出す言葉ではありません。
    しかし気になるのは、なぜそこまで悔いを残してしまったのか。フロアはすっかり、田中氏の次の言葉を待つ空気に。
    田中氏「当時はとにかく、メダルを獲得できなければ努力の意味すらないと思っていました。つまり『人に勝つ』ことを至上にしたメンタリティでトレーニングをしていて、それがただただ苦しかったんですよね。」

    田中氏と同じ水泳の池江璃花子選手の例を挙げながら、記録をガンガン伸ばしているときの選手の様子は「すごく楽しそう」とのこと。過去の自分に挑戦して勝った達成感とともにモチベーションが持続しているように見えるそうです。田中氏がつぶやく「楽しむことができなかった現役時代の私は、戦い方を間違えていました。」という言葉が胸に刺さります。


    ここで丸岡氏が「楽しみながら戦う」というワードに着目。そして「このなかでもっとも楽しそうに戦いの場へ立っているのは、原田さんですよね?」と切り込むと、会場が“たしかに”といった雰囲気に。

    突然の問いを受けた原田曜平氏からは「純粋に、若者研究って楽しいですよ。考えが凝り固まる中年世代と違い、新しいニーズや変化を日々発見できるので。」と、素直な思いが伝わる回答が。
    「さとり世代」や「マイルドヤンキー」など、若者を象徴する新ワードを生み出した人物である原田氏。トレンドの創出に関するプレッシャーについて尋ねられたときも、未来を当てられたら億万長者になっているという気持ちのもと、いまは気負わずに日々を過ごせていると話しました。



    会場の様子

    成長のヒントは「利他」の考えにあり?

    他人ではなく、自分との戦いに目を向ける。そしてなにより、自身が楽しみながら挑戦を続けることが大切である。そんな意見が飛び交うなかで、自分ではなく他人へフォーカスを置いた戦い方についても議論が行われました。

    志津氏「自衛隊では、災害派遣の現場で隊員が普段以上の力を発揮することは珍しくありません。誰かを守りたいと願う使命感による部分が大きく、“他”を“利する”意味をもつ『利他』の考えと同じであるといえます。」

    医療業界に携わる高平氏からも次のような発言が。
    高平氏「医療業界で働くうえでは『患者さんのために』という根本的な考えを欠かすことができません。それは利他の精神と同じであり、自ら進んで勉強する意欲的な若者も多いのが現状です。」

    国防と医療の面から紐解かれていく利他の考え。一方、常に新しい時代を見据える原田氏からは「未来を生きる子どもたちに対し、利他の考えを育んでもらうハードルは高いように感じる。」との意見が。



    その後も正解は見出せずとも、自分をとことん大切にする時代だからこそ、誰かのために動く大切さも知ってほしいという、登壇者たち共通の思いを感じられるような議論が展開されていきました。

    “戦い”とはかけ離れているようで、本質を突いたような話題が続く今回の異種格闘技戦。ついに迎えるクライマックスでは、「戦いの先にあるものとは?」というこれまた議論のしがいがありそうな話題が。その様子は第3弾でお届けしますので、ぜひお楽しみに。
     

    <著者紹介>

    ライターKY

    千葉県在住 エンタメビジネスライター

    エンタメの表舞台に立つ方々だけでなく、裏方として活躍するビジネスパーソンにもフォーカスした取材をおこなっております。



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