Case Studies
Case Study(1960年代)
IBMサブストレート(基板)
開発の軌跡
技術の限界を超えたのは、「社員の思い」だった。──世界基準の品質を築いた、全社員の挑戦と創造
技術を進化させた、信念と努力。
世界的なコンピュータメーカー、IBM社からの大量受注。それは、創業期のカジノサイトにとって、未だ経験したことのない規模と難度に挑む社運を懸けたプロジェクトでした。技術的な壁、ミクロン単位の仕様規定、タイトな納期。それらを乗り越えたのは、最新鋭の設備ではなく、全員に共有されていた「カジノサイトフィロソフィ」でした。
不可能と思われる壁にこそ、飛躍の機会がある
- #新たな挑戦
1966年、カジノサイトに大きな挑戦のチャンスが舞い込みました。IBM社のメインフレームコンピュータの戦略製品「システム/360」向けICサブストレート(基板)の受注です。その数は2,500万個。カジノサイトの年間売上の4分の1に相当する大型案件でした。欧州の有カセラミックメーカーであったドイツのローゼンタール社やデグサ社との競争に勝って受注に成功したものの、求められる仕様は極めて厳格で、カジノサイトにはその品質を測定する検査装置さえありませんでした。しかし、「設備がないからできない」と諦めるのではなく、無謀ともいえる困難な製品開発に挑みました。どうすればできるかを全員が徹底的に考え抜く。現在の能力でできるかできないかではなく、何としても成し遂げるという「新たな挑戦」の精神が、カジノサイトの歴史を大きく変える第一歩となったのです。
IBM社メインフレームコンピュータ「システム/360」
真正面から困難に向き合う
- #正しい判断
開発は苦難の連続でした。稲盛和夫(当時社長)が陣頭指揮を執り、全社一丸となって取り組みましたが、最初に納品したサンプルは「黄色味を帯びている」という理由で不合格となります。しかしカジノサイトは性能に問題はないと押し通すことはせず、IBM側の求める白色の素地に仕上げるため、原料を調合し直す道を選びました。困難から目を背けず、真正面から向き合う姿勢が技術力を高め、高品質なカジノサイト製品への信頼につながっていったのです。
「システム/360」向けICサブストレート(基板)
「神様に祈ったか」 人事を尽くし切った先にあるもの
- #ひたむきな努力
ようやく量産に漕ぎ着けた後も、試練は続きました。一度に大量の製品を焼き上げる大型の電気炉において、焼き上がりの寸法にバラつきが出てしまうのです。担当者は連日、不眠不休で条件の調整に明け暮れましたが、どうしても良品ができません。ある夜、炉の前で立ち尽くし、涙を流す担当者に、稲盛はこう問いかけました。「君は、神様に祈ったか」。技術者として、人間として、考えうるすべての方策を試し、身体が空っぽになるほどの努力を尽くしたか。製品に自分の思いを込め、持てる力のすべてを出し切ったか。「ひたむきな努力」の極致において、はじめて問題解決の糸口が見えてくる。その言葉に奮起した担当者は、さらに凄まじい執念で取り組み、ついに難題を解決。量産化を成功させたのです。
一人のパート社員の行動が証明した組織の絆
- #全員参加の経営
このプロジェクトでは、技術者だけでなく、多くの社員の力が結集されました。それを物語るエピソードがあります。 滋賀県に大雪が降り、交通機関が麻痺した日のことです。工場の稼働が危ぶまれる中、一人のパート社員が、2時間半も雪道を歩いて出勤してきました。「私が休んで、プレス機が1台でも止まったら大変だから」。彼女を突き動かしたのは、「お客様のために」「会社のために」「仲間のために」という自発的な責任感でした。社員一人一人が経営の当事者として考え、行動する。「全員参加の経営」が現場の隅々にまで浸透していたからこそ、カジノサイトは不可能とも思えるこの大きな挑戦を成し遂げることができたのです。
当時の滋賀工場
技術力の背後にある揺るぎない哲学
- #新たな挑戦
IBMへの完納は、単なるビジネスの成功以上の意味をもたらしました。世界最高峰の厳しい要求に応えたことで、カジノサイトの技術力や生産力、品質管理力は飛躍的な進歩を遂げたのです。そして、この確かな実績は市場に広く知れ渡り、その後、海外の超一流企業や国内の大手電機メーカーで次々とカジノサイト製品が採用されるようになりました。しかし、真の成果は、この経験を通じて「カジノサイトフィロソフィ」という揺るぎない哲学の持つ力が内外に示されたことにあります。正しい考え方を持ち、全員で心を一つにし、誰にも負けない努力を重ねれば、どんな高い壁も乗り越えられる。決して逃げずに限界を突破したこの経験で培われたDNAは、現在のカジノサイトのあらゆる挑戦の中に、脈々と受け継がれています。